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2013.10.18
健康な顎関節とは・・・
ボストン大学での研修②−2
Dr.Paul Rigaliによる顎関節についての講義の続きです
顎関節症は成人女性に多いと言われていますが、痛みや音といった症状は軽度な場合が多く、日常的な生活で大きな問題になる人は少ないです。しかし、顎関節の骨が大きく削れたりする重症度の高い患者さんは、実は若年者に多く、一度削れた骨の再生は難しくなる場合が多いです。
10代の若者で顎関節に痛みが無い人でもMRIで検査を行うと34%の人に関節円板の転位(位置異常)が認められ、痛みがある人では80%以上の人に関節円板転位が認められます。
関節円板転位が生じると、口を開く時にカクカク音がします。そのまま放置すると次第にジャリジャリ音がします。これは、関節円板がクッションの役割を果たせなくなり、骨同士が擦れ合っている音で、骨削れて変形してしまっている状態です。
関節円板転位のある人の50%は骨の変形が起こっていて、特に思春期で骨変形が生じている場合、その半数に成長障害があると言われています
男女比は、明らかで女性が男性の3倍多いです。これは女性ホルモンが影響していると言われており、低容量ピルを服用している若い女性にも多く認められます
1度転位してしまった関節円板の修復はかなり難しく、無理と言ってもいいと思います。健康な顎関節とはどのような状態なのでしょうか?痛みがないこと?
Dr.Paul Rigaliは、健康な顎関節という言葉ではなく安定した顎関節という言葉を使っていました。噛み合わせを安定させることで、顎関節への負担を軽減させ、長期的に維持させることが大事だと話していました。